「一緒に暮らそう」
今は帰る部屋すらないオレに、この言葉はヤバい。
ただでさえ側にいてくれる系の言葉には弱いのに、こんな実質的にも精神的にも弱ってるときに言われたらかなり心がぐらつく。
でも、松坂は空気読めないとこ有るし自慢話が多いし―― でも、鬱陶しいくらいに側にいてくれるだろう。
束縛されそうなのは嫌だけど、寂しい思いだけはしなくてすむ。
中学で寮に入るまでの間はほとんど放任というか放ったらかしで育ったオレは、人に合わせて生活するのが苦手だ。
だけどひとりきりの寂しさはもっと苦手。
矛盾しているというか我が侭というか、勝手なのは分かってるけどこの性分は今更どうしようもない。
だから浩二みたいに、お互い同じベッドで眠る以外は好きにするっていう条件で同棲してくれる恋人が出来たのはすごく嬉しかった。
浩二は顔もいいしお金もそこそこ持ってるし―― 身体の相性も良かったと思う。
だけどそんな都合のいい話が長く続くわけなんて無かったんだ。そう思えばあきらめも付く。
人間ある程度は妥協しないとね。
寮生活をしたお陰で、規則正しく周りに合わせた生活も何とか出来るようになったから、松坂とだって上手く折り合っていけるかも知れない。
「ねえ、そんなに困った顔しないでよ。困った顔も可愛いけど……あんな浮気者のせいで俊ちゃんがそんな顔すること無いよ」
松坂は、俯いて考え込んでしまったオレの顔を片手で持ち上げて自分の方を向かせた。
こんな風に気安く顔に触るなんて距離感の掴めない人だなーと思うけど、それでも優しくしてくれる。言葉だけかもしれないけど、優しい言葉はとても気持ちいい。それに顔を誉められるのは大好きだ。
オレは容姿しか取り柄がないから。
頭も運動神経も人並みかそれ以下。自慢できるのは持って生まれた顔の造作だけってのは、自慢どころか情けないと思う。
だけどオレは持って生まれた物にプラスして、似合う髪型や服を選んだり体型の維持に気を配ったりとか、自慢できる物であるように努力してきた。
だからオレは容姿を誉められるのは、自分の努力が認められたような気がして好きなんだ。
オレは子供の頃からずっと自分には何の取り柄もないと思っていたけど、中学生になってそれまでまったく構っていなかった、と言うより汚らしかった身だしなみというのをそれなりに気にするようになったら、いきなりモテた。
それで自分にも1つだけ人より秀でた所があったんだと気付いたんだ。
中学は寮も有る共学で、女の子も居たのにそれでも女の子よりオレの方がいいと言ってくる男が居たし、全寮制の男子校だっだった高校ではファンクラブみたいな物まで出来てちょっとしたアイドル状態だった。
あの頃はみんなからちやほやされて楽しかったけど、ひとりだけの特別な人って言うのは出来なかった。
そこそこ仲がいい友達と、恋人とまでは言えないけど微妙な関係まで行った後輩もいた。
だけどそれだけ。そこ止まり。
“オレだけを愛してくれる人” なんてそこまで贅沢は言わない。ただ “他の誰よりもオレを一番に愛してくれる人” が欲しい。
浩二がその人になってくれるかと思ったけど駄目だった。
浮気してもいいけど、あのベッドで浩二と寝るのはオレだけにしてくれって、たったそれだけの約束を破っちゃうんだからオレの事なんて大して想ってくれてなかったって事だよな。
それに今なんて無一文で閉め出して放置だもん。こんなことされたらオレが他の男の所に行くかもしれないって―― そうか、そう思ったから放置してるのかも。
オレと別れたくて、オレを追いだしてあの雅洋とか言うヤツと暮らしたくてこんなことをしてるのかも。
考えれば考えるほど落ち込んでくる。悪い発想しか浮かばない。
だけど浩二がオレと別れたがってるって考えは、あながち間違ってるとも思えない。
知り合いでも何でもない安積さんまで心配させて、このままひとりでフラフラしてるよりは、もう浩二のことは忘れてオレのことを想ってくれてる松坂の所に行くのがいいのかも。
松坂も浩二よりは落ちるけど、顔も体つきも結構イケてる。
ただこの鬱陶しい髪型はどうしても受け付けない。
仕事の時は後ろに流してるらしい長い前髪。本人はお洒落だと思ってるみたいだけど、陰気くさくて鬱陶しい。でもこの辺を改良すれば見た目はOKだし、自慢話が多いのは閉口するけどそれは適当に同意するかスルーしておけばいいだけだから案外扱いやすいかもしれない。
だけど、こんな打算だらけの気持ちで付き合う相手を選んじゃっていいんだろうか?
時間にすればほんの数秒だろうけど考え込んでる間、至近距離で松坂と見つめ合ってる形になった。
それでオレの心が揺れちゃってるのが分かったのか、松坂は最後の一押しに掛かってきた。
「本気で付き合うかどうか、お試しで数日一緒に暮らしてみない? もちろん俊ちゃんが同意してくれなきゃ指一本触れないから」
「でも……一緒に暮らすって言うのは、ちょっと」
「今、支倉は出張中でしょ? 帰らなくても平気じゃない。ね? このまま俺の家に来なよ」
確かに浩二は居ないし行く当てはないし、このままついて行っちゃうのに何の不都合もないどころか、今晩寝る場所が見つかったってのは都合がいい事だ。
「じゃあ、取りあえず今夜一晩、松坂さんの家に泊めてくれますか?」
「もちろん!」
言うなりオレを引き寄せてキスしようとしてきた松坂を押し返すと、あっさりと離れてくれた。
「待ってください! まだ本気で付き合うって決めたわけじゃないんですから」
「そうだったよね。俊ちゃんってば身持ちが堅いんだ。でもそう言うところもいいよ」
名残惜しそうに手だけはオレの肩に掛けたままだけど、それでも止めてくれたって事は本当に同意がなきゃ手は出さないって約束を守ってくれる気なんだと、ちょっと安心した。これで心おきなく松坂の所に行ける。
そう思ったけど、安積さんがオレを待ってくれているかもしれない。
せめて泊まる先が見つかったと電話くらいは入れたい。けど、オレ安積さんの電話番号知らないや。うっかりしてた。
このまま何も言わずに帰らなかったら安積さんが心配するかもしれない。泊まる先が見つかったって報告くらいはしたい。一端マンションまで帰ってもらって、安積さん家に行こう。
「松坂さんの家に行く前に、一端マンションに帰らせてください」
「何で? 服とか生活用品は全部新しく買って上げるから何も持ってこなくていいよ」
「よそに泊まるって言っておきたい人が居るんです」
「誰? 同じマンションの人? そいつ、男?」
うわー、今からこの詮索か。これは本気で付き合ったらもの凄く束縛されそう。初っぱなから軽く嫌気がさす。
「男の人ですけど、同じマンションの人じゃなくて……その、オレが恋人とケンカしたのを知って、心配してくれた人です」
色々端折りすぎだけど、この説明で嘘はない。安積さんは“雨に降られてたオレを拾ってくれた親切な猫傘兄ちゃん”と、本当のことを言ったところで意味が通じないだろうし。
オレも安積さんのことは実際よく分からないし。
ただ親切にしてもらったんだから行く先が見つかったと報告くらいはしたい。なのに松坂は変な風に疑ってくる。
「何だ。俊ちゃん恋人予備軍なんて居たんだ」
「安積さんはそんなんじゃありません」
「そんなんじゃないなら何? どういう関係?」
「どういうって……ただ好意で親切にしてくれた人で……その、ちゃんと彼女もいるノーマルな人だし。ただオレの事を心配して気遣ってくれてる人です」
本当にそれだけの、たったそれだけの事だけど、それができる人ってそんなにいないと思う。
「ふーん。 “いい人”ってヤツだ。 “いい人”って言うか “どーでもいい人”?」
「どーでもいいって事はないです。あの人は本当にいい人で――」
「こんな短期間に別の男を作っちゃうなんて、俊ちゃんも結構尻軽なんだ。じゃあ別にいいじゃない。このまま俺のモノになってよ」
そんなんじゃないって言ってるのに。人の話はちゃんと聞けよ!
やっぱりこの人嫌いだ。いくら誰でもいいってくらいひっ迫した状況でもこの人だけはご免だ。
何が「指一本触れない」だ。再び運転席から身を乗り出してオレに覆い被さってこようとする松坂を押し戻そうとしたけど、その手を掴まれてシートに押さえつけられる。
「その安積とかってヤツ? “いい”って、どこがどうよかったの? あれがデカいとか?」
「そんなんじゃないって言ってるでしょう。安積さんには彼女が、彼は女の人が好きなんです! オレの事なんて捨て猫拾ったくらいにしか思ってません」
自分で言ってて悲しくなるけど、実際そうだ。困っていれば人でも猫でも放っておけずに助けてしまう。安積さんはそんな人だ。
オレだから助けてくれたわけじゃない。だけど、オレにはそれが嬉しくて側にいたかった。だけどそんなの無理だ。分かってるからこうして身を寄せる場所を探して頑張ってたのに。
でももう松坂の所には行かない。こんなヤツの所に行くなら野宿した方がまし。
「そんなこと言っちゃって。そいつも下心があって構ってきたに決まってるじゃない。俊ちゃんは可愛いもの。ノンケだって勃つよ」
「安積さんのことをそんな風に言うな!」
オレにベッドを乗っ取られても大人しく床で寝ちゃうような安積さんに、なんてこと言うんだ。必死に掴まれてる手を振り解こうとするけど解けない。
オレはせめてもと、嫌悪感をあらわにして松坂を睨み付けた。
「ムキになるなんて怪しいなー。そいつとどんなことしたの? 俺にもやらせてよ」
松坂は助手席の方に身体の重心を移してオレの上に覆い被さるようにのし掛かって、オレのズボンのボタンを外して脱がせに掛かった。
いきなり下を脱がそうなんて、何て即物的なヤツなんだ。
「こんな所で何考えてるんですか! 止めてください」
いくらこの道に人気が無いったって、車は通るしまだ外は明るい。こんな所で始めるつもりか? 正気じゃないぞ。何とかして逃げないと。
オレはだてに中学時代から男に迫られてきたわけじゃない。襲われるなんてこんなことも一度や二度じゃなく経験してきた。
体力に自信のないオレは、相手の股間を容赦なく蹴り上げて早々に戦意喪失、もしくは物理的に続行不可能に持ち込む。情けは無用。それが一番。
――って分かってるんだけど、だけどこんな狭いところでは上手く足を動かせない。
「嫌だっ。止めてくださいって言ってるでしょ!」
「普段はこんなに乱暴な事はしないんだけど、こういうのもたまには悪くないよね」
悪いに決まってるだろ。こういう輩は特に一撃加えると怯むからその隙に逃げられる。何とかして反撃したい。
「大丈夫。心配しなくてもちゃんと俊ちゃんも愉しませてあげるから」
そんな心配してるんじゃない! 迫ってくる松坂の唇を避けようと顔を背けると、その唇は首筋に吸い付いてきた。ヌメヌメした舌でなめ回し、時々歯を立てながら首筋から鎖骨まで唇を這わされる。
「いっや、だ」
「感じて来ちゃった?」
快感よりも嫌悪感で震えが走る。だけどそれをいい方に解釈した松坂はますます調子に乗ってくる。
「こっの、バカ! 止めろっつってんだろ!」
もう言葉遣いなんて気にしてられない。と言うか、人に襲いかかるような礼儀知らずに尽くす礼なんて無い。
もうなりふり構わず乱暴に振り払おうとしたけど出来ない。無駄なあがきをしている間に、ファスナーを降ろしたズボンの隙間から手をねじ込まれる。
「嫌だ! 離せっ。触んな!」
「こんなに怯えちゃって……可愛いね。すぐに外に出して上げる」
下着の上からゆっくりじんわりと揉まれて本気で鳥肌が立った。こいつ、本当にこんな所でやるつもりなんだ。
何が何でも逃げなくちゃ。でもここじゃ狭くて上手く反撃できないから、これ以上暴れても無駄に体力を消耗するだけだ。
オレは作戦を変えることにして抵抗を弱めた。
「止めてくださいったら。……あっ」
どんなに嫌なヤツにでも、感じるところを触られたら声が出ちゃう。嫌だけど生理現象なんだと自分を納得させて、その声を利用する。
「ん……あっん、ねぇ、もう止めて……もうやだ。こんな所で」
「気持ちよくなってきたんだ? もう意地を張らないで俺のモノになるよね」
松坂はオレの甘えた声に嬉しそうに、オレの首筋に這わせていた顔を上げた。
「オレ、狭いところでするのって嫌いなんです。それに、ここじゃ邪魔が入るかもしれないし……」
「うーん、それもそうだよね。じゃあ家に行こう。そこでゆっくり、ね」
大人しく従うそぶりを見せたオレに気をよくして、ここから移動する気になったらしい。
松坂は身を起こして運転席の方に座り直した。
オレは乱れた服を直しにかかる。それを愉しむようにじっと見ている松坂にちょっと拗ねたように上目遣いに睨むと、松坂はさらににやついてオレを見る。
もう完全にオレが自分のモノになると思って安心してるみたいだ。
オレはなるべく自然に少しずり落ちかけていたズボンを上げるのに手間取る振りをして、邪魔なシートベルトを外した。
そのままきちんとズボンをはき直すと、オレはドアを開けて外へ飛び出した。
だけど松坂もまだ多少は警戒していたのかオレを捕まえようと素早く腕を伸ばしてきて、身体半分車外に出たところでシャツの裾を掴まれた。
「待てよ!」
「離せ、このバカ! 誰かお前なんかと」
シャツを掴まれたそのまま外に出ようとしたんで、オレは道路に這いつくばるような恰好で転がり出た。その転んだ勢いで松坂も引っ張られて体勢を崩したのか、助手席に倒れ込んでオレのシャツから手を離した。
オレはその隙に仰向けになると、そのまま地面に手をついて足で蹴ってドアを閉めた。
バンとドアが閉まる音と共に「いてっ」という声が聞こえた気がした。松坂はドアで顔か何か打ったらしい。
まああいつがどこを打ってようと関係ない。オレは起き上がって走り出した。
振り返ると、松坂が運転手側のドアから顔を押さえながら出てくるのが見える。こっちに向かって何か叫んでるのが聞こえたけど、聞かない。
とにかく追ってくる気なのは分かったから逃げるのに専念する。
このまま道路沿いに歩道を走ってたんじゃ車で追いつかれるだろうから、オレは整地されてない石ころだらけで雑草の茂った空き地に分け入った。
そのまま空き地を斜めに突っ切って、また道路を横切り次の空き地を走り抜けようとしたんだけど、段差に気付かず足を取られて派手に転んだ。雑草で足元が良く見えなかったんだ。
「いってー」
思わず声が出てしまうほど痛かったけど、足は動く。オレは素早く立ち上がると、ズボンに付いた泥を払う間も惜しんでまた走り出した。
どこまで逃げればいいのか分からないけどとにかく来た方向に向かって、家が建ってて人気がありそうな所まで行けば大丈夫だろう。それを目安に走った。
とにかく息が上がるまで走り続けると、空き地だらけの場所から民家が建ち並ぶ住宅街に出た。
立ち止まって耳をすませてみたけど追ってくる車の気配は感じない。そこでようやくオレは逃げ切ったと思って大きく息をついた。
逃げ切れたのはいいけど、ここはどこだろう? 周りには家があるけど人通りはなくてしんと静まっている。誰にも道は聞けそうにない。
警戒しながらも標識でもないかと大きな通りの方に出ると、ちょうどすぐ目の前にバス停があった。路線図を見ればここがどこか、どうすれば知った場所に出られるか分かるだろう。
近づいて路線図を見てみると、ここから停留所を5個ほど行った先に通学に使ってる私鉄の駅があった。確かこの駅名は大学の2つほど先の駅のはず。
よかった、バスと電車を乗り継げば帰れる。そう思って、そこでようやくオレは重大なことに気付いた。
「あーっ、しまった! 紙袋置いて来ちゃった!」
全財産が入った大事な紙袋を松坂の車の助手席の下に置いたままで来てしまった。
でもあれを取ろうとしてたらきっと逃げ切れなかっただろう。それを思えばあきらめも…… 駄目だ。あきらめが付かない。
あの中には着替えた服もお金も、安積さんからもらったテレフォンカードも、何もかもが入っていたのに。
オレはどっと疲れが来て、停留所の長椅子に座り込んだ。
足も痛いし疲れたし、もう動きたくない。だけど歩かないと帰れない。
でも、帰るってどこに?
当てなんて無いけどとにかくここにいても仕方がない。オレは路線図で道を確認すると、転んだときに打ち付けたらしい痛む膝を庇いながらゆっくりと歩き出した。
見知らぬ道をひたすら歩く。暮れかけてきた空は否応なしにわびしい気持ちを盛り上げてくれる。
無一文で行く当て無し。また振り出しに戻ってしまった。いや、足も痛いし振り出し以下だ。
とにかく、バイト先に行ってまたお給料の前借りをしなきゃ。言い訳はどうしよう? 落としたって言うしかないよな。でもそんなんじゃもう貸してもらえないかも。そうしたら今日はホントに公園で野宿かな。
考えても考えても、前向きな事なんて何一つ考えられない。
暗い気分そのままに俯いてただ黙々と歩いて、ようやく私鉄の駅近くの人通りの有るところに出ると、少し気分的にホッとして落ち着いたけど、今度は通る人がみんな惨めなオレを見ている気がしてきた。
駄目だ。落ち込んだ気分が被害妄想を呼んでるみたいだ。でも実際、ここまで不幸が連続すると何かの陰謀じゃないかと被害妄想の1つも出るよな。
オレはますます俯いて、誰とも視線が合わないようにして痛む足にむち打って足早に歩き続けた。
線路沿いに歩き続けて、いつもの最寄り駅に付いた頃にはもう空はすっかり夕暮れ色に染まっていた。駅の時計を見ると、もう6時前だった。
バイト先はそろそろ夕食に来るお客さんで賑わう時刻だ。こんな時間に厄介な頼み事をしに行くなんて嫌だな。でも行かないと。
そう思っても、思ってるのに足はバイト先へと続く国道じゃなく、安積さんのアパートの方へ向いてしまう。
駅近くの寂れた商店街の端の小さなアパート。
そこが何より懐かしい場所に思えた。朝出てきたばかりで懐かしいも無いけど、無性に帰りたい場所だった。
帰れる場所でもないのに。
それでもオレはその前まで行って足を止めた。
『松木コーポラス』
見上げた2階の、元は白だっんだろう薄汚れた壁に水色のペンキで書かれた名前に始めて気付いた。
「へぇ、そんな名前だったんだ」
どうでもいいことに感心しながら、オレはフラフラと吸い寄せられるように2階の安積さんの部屋へと続く階段を上った。